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女子栄養大学教授 上田成子さんに聞くアルコール除菌剤の効果

女子栄養大学 衛生学教室 上田成子教授のおはなし

学校、病院、事業所、福祉施設などの特定給食施設や飲食店の厨房などでは、食のプロフェッショナルが高濃度のアルコール除菌剤を使って、衛生管理を行っています。高濃度のアルコール除菌剤の効果について、女子栄養大学 衛生学教室教授の上田成子先生にお話をうかがいました。

女子栄養大学 衛生学教室 上田成子教授
女子栄養大学 衛生学教室教授/獣医学博士

上田 成子(うえだ しげこ)

専門分野は、衛生学・公衆衛生学・食品衛生微生物学。特に食中毒微生物(細菌、ウイルス)の生態と発症機構およびその制御/毒素産生能と分子遺伝学との関連性について研究。
著書に『食中毒 予防と対処のすべて』(共著)

Q. なぜ料理のプロは高濃度アルコール除菌剤を活用しているのですか?

A. 管理栄養士や飲食店の料理人は、日々、多くの人たちに料理を提供しているため、常に「集団食中毒」のリスクがつきまといます。料理のプロの方々は、そうしたリスクを最小限に留めるため、徹底した衛生管理を行っています。その中でも、高濃度のアルコールスプレーが除菌剤として選ばれている理由は、下記などがあげられます。

1. 多くの一般細菌に対して殺菌作用がある
2. 素早く強力に作用する
3. 食品由来のアルコールが身近な存在で安心感がある
4. スプレーするだけでよく、洗い流しや二度拭きがいらない利便性がよい

Q. 高濃度アルコールはどんな菌に対して有効なのですか?

A. 高濃度アルコールは、多くの食中毒原因菌に有効です。例えば、病原性大腸菌、カンピロバクター、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオなどの一般細菌(グラム陽性・陰性細菌)やカビに対して殺菌作用を示します。また、アルコールは、ウイルスに対してもかなりの範囲のものに有効です。

※糸状菌や芽胞という硬い殻を作って休眠することができる種類の菌(ウェルシュ菌など)は、アルコールの作用をほとんど受けません。ただし、芽胞の発芽時や芽胞の形成時の細胞に対しては作用を示します。この他、乳酸菌は比較的アルコールに抵抗性が強いものがあります。
このほか、ノロウイルスにもあまり効果がありません。

Q. 高濃度アルコールはどのように菌に作用するのですか?

A. 濃度40%以上のアルコールが殺菌力を有し、特に殺菌力がある最適濃度は75%~80%の高濃度といわれています。高濃度のアルコールは、細菌のタンパク質を変性・凝固させることで細菌を不活化させます。40%アルコール溶液で殺菌処理した細菌の電子顕微鏡写真を見ると、細胞壁、細胞膜のごく一部が同時に破れ、細胞内部のリボゾーム(あらゆる生物の細胞内にある小さな器官)が菌体外に漏出しているという細胞構造の変化が認められます。これは高濃度アルコール殺菌の菌体に共通してみられる細胞の構造変化です。

Q. 高濃度アルコール除菌剤を家庭で使う際のポイントは

A. 高濃度アルコール除菌剤を使う際のポイントは5つあります。

1. 吹きかける前に、水分を取り除くこと

市販のアルコール除菌剤のアルコール濃度は、殺菌力を有する40%~80%に設定されています。40%~80%のアルコール濃度の中でも、高濃度のものが殺菌力を有しますが、元々の濃度が高くても、吹きかけた場所に水分が残っていると、アルコールの濃度が下がり、殺菌作用が低下してしまいます。アルコール除菌剤を使用する前には、水分を取り除いておきましょう。水分を取り除いたあとは、スプレーするだけでOKです。使用後は、洗い流しや二度拭きは不要です。

2. 毎日、こまめに使用すること

アルコールの除菌効果は一時的なもので、吹きかけたその瞬間には強力に作用しますが、除菌効果が持続するわけではありません。そのため、例えば、キッチン周りを除菌する場合は、キッチンを使うたびにアルコールで除菌する必要があります。

3. 換気を充分にすること

アルコールは蒸発しやすく、大量に吸い込むと気分が悪くなることがありますので、換気をしながら使用しましょう。

4. 火気の周りでは使用しないこと

アルコールは火がつきやすいので、ガスコンロなどの火気周辺では取り扱いに注意が必要です。

5. 食品・食品添加物由来のものを

食器や食品が置いてあるキッチンで使用する場合は、食器にかかっても安心な食品・食品添加物由来のアルコール除菌剤を使用しましょう。

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